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2026.03.29

静かな退職(Quiet Quitting)という言葉について

静かな退職(Quiet Quitting)という言葉について

近年、「静かな退職(Quiet Quitting)」という言葉を目にする機会が増えています。
この言葉は、2022年頃に海外で広まり、
会社を実際には辞めるわけではないものの、求められている役割の範囲内で仕事を行い、それ以上の踏み込みは控える働き方を指しています。

誤解されがちですが、仕事を放棄することや怠慢を意味する言葉ではありません。
あくまで、過度な期待や際限のない責任拡大に対し、
「距離を取り直す」という姿勢を表したものとされています。

■ 世界的に見られる、働き方の価値観の動き

この考え方は、中国で広がった「躺平(横になる)」という言葉や、
欧米における「Work is not your life」という価値観の定着と、
同じ時代背景の中で語られることがあります。

いずれも直接的な関係性が明確になっているわけではありませんが、
働くことを人生の最優先事項とせず、過度な競争や長時間労働を前提としない働き方を模索する動き
という点では、共通性を感じさせます。

「Burn out(燃え尽き症候群)」を目の当たりにしてきた若者世代を中心に、
こうした世界的な価値観の変化の中で語られるようになった概念の一つと捉えることもできます。

■ なぜ、職場で「静か」になるのか

こうした価値観の変化がある中で、
職場では次のような状況が重なることがあります。

・何を期待されているのかが分かりにくい
・評価や処遇との関係が見えにくい
・この仕事の先にどのような将来像があるのか分かりにくい
・忙しさが常態化し、自分自身が成長しているのか実感しにくい

このような環境では、
社員が仕事との関わり方を調整し始めること自体は、
必ずしも特別なことではないように思われます。

■ 個人の問題と決めつけないという視点

こうした兆候を職場で感じられたときには、
その社員を咎めるのではなく、
会社と社員の関係性を改めて考える機会として捉えることが大切です。

・会社は、どのような働き方を期待しているのか
・どこまでの関与や責任を求めているのか
・何が評価され、何が報われるのか
・どのような人材像を思い描いているのか

これらの点が十分に共有されていたか、
一度立ち止まって確認してみることも有意義です。

■ おわりに

静かな退職は、
良い・悪いで一律に判断できるテーマではなく、
企業ごとの事情に即して個別具体的に整理すべき問題だと感じています。

もし、

・最近、社員との関係性に変化を感じる
・働き方や関与の度合いに迷いがある
・制度の問題なのか、別の要因なのか判断が難しい

と感じられている場合、
自社の状況を一度整理してみることで、見え方が変わることもあります。

当事務所では、
こうしたテーマについて、一般論を当てはめるのではなく、
貴社の状況に即した整理や検討の支援を行っています。
ご関心があれば、お気軽にお問い合わせください。