2026.04.05
「退職代行」の利用傾向が増えている背景
■ 「退職代行」とは?
民間による退職代行サービスは、2017年頃から登場しています。
当初は「辞めたいのに辞められない」といった、ごく限られた一部のケースに対して、サービス代行会社が本人に代わり退職の意思を会社へ伝えるもの、という印象が強かったと言えるでしょう。
一方で、企業側の調査を見ると、2020年代に入ってから、退職代行を利用されたと回答する企業が明確に増加しています。
2024年上半期には、約4社に1社が社員が退職代行を利用したという結果も報じられました。
また、2025年10月には、退職代行サービス「モームリ」に関する報道があり、
それをきっかけに「退職代行」というサービスを目にした、あるいは意識した方もいらっしゃるかもしれません。
こうした動きを通じて、退職代行がより一般的なものとして認識されるようになってきた印象があります。
■ では、なぜ退職代行が使われるケースが増えているのでしょうか?
各種調査を見ると、退職代行を利用する社員の感情や事情は一様ではありません。
一方で、共通して多く挙げられているのが、
「退職の意思を自分から伝えにくかった」
「引き留められそうだった」
「相談できる雰囲気ではなかった」
といった声です。
必ずしも、職場内での強い対立や深刻なトラブルがあった場合や、
社員個人に明確な問題があった場合だけとは限りません。
会社側から見ると、第三者から突然退職の連絡が入ることに、戸惑いを覚えるのは自然なことです。
とはいえ、退職代行が使われたという事実を一つの結果として受け止め、その社員にとって社内に「相談できる余地」がどの程度あったのかを振り返ってみることも、大切な視点だと考えられます。
たとえば、
・退職やキャリアについて、日常的に話題にできていたか
・そのような会話を、上司や人事に気軽に相談できる関係性や雰囲気があったか
・業務が無理に過重な負担になっていなかったか
こうした点は、制度の問題という側面とともに、
日常のコミュニケーションや職場風土の積み重ねとして表れることが多いものです。
■ おわりに
退職代行を利用されたという話題について、経営者の方とお話しすると、
「これまで面倒を見てきたのに、最後にこの形で辞められるのは正直つらい」
といった率直な感情を耳にすることがあります。
これまでの関係性を思えば、そう感じられるのも無理はありません。
ただ、その出来事そのものに憤慨するだけで終わらせるのではなく、
自社にとっての「見直しのきっかけ」として捉えていただくことも、一つの考え方ではないでしょうか。
社内で対応できることもあるかもしれませんが、
専門家に相談することで、次につながる整理や改善策が見えてくることもあります。
必要に応じて、顧問社労士など外部の視点を活用することも、検討してみてはいかがでしょうか。